さて、油圧警告灯点灯の件を考えてみることにします。
まずは潤滑油の経路がどうなっているのか整備マニュアルから引っ張り出してみました。(英文ですみません。クリックすると大きくなります)このフローを見てみるとクランクピンベアリング(ジャーナルベアリング)は交換したもののクランクシャフト両側のメインベアリングは手付かずのまま。ここが摩耗していてここから油圧が逃げていることが考えられます。
また、バルブシャフト経由でバルブステムにも行っているのでここが摩耗して油圧が逃げている可能性もあります。
このどこからか油圧が逃げてアイドリングでは十分に油圧が上がらないのかもしれません。
ただ、説明がつかないのがクラッチのON/OFFで警告灯が点いたり消えたりする現象。
プロペラシャフトからのスラスト圧力が影響するかもと思って構造を調べてみましたがこれはギヤボックスが受けてエンジン側とは切り離されているためメインベアリングとかバルブ側に影響を及ぼすとは考えられません。
となると影響を受けているのはアイドリングの回転数のみ(OFF:660RPM、ON:640RPM)この20RPMの回転数の差が影響しているんでしょうか?
たった20RPMの差で点灯、消灯の差が出るとは思えないのですが いずれにしてもこの回転数は低すぎで 定格アイドリング回転数の700RPMまで達していません。
*クランクピンベアリング(ジャーナルベアリング)を交換する前は720RPMだったのでベアリングの摩擦抵抗が変わってアイドリングが低くなったのかもしれません。
ということで、アイドリング回転数を700RPMに調整したらどうなるのか見てみることにしました。
まずは前回と同じになるのかの確認
1、エンジン始動、アイドリングは730RPM
2、クラッチを前進に入れて1450RPMで45分間運転、この間オイル警告灯点灯せず。
3、スロットルを戻してアイドリングにして回転数計測、エンジン温度が上がるとアイドリングが低くなるようです。
クラッチON:610RPM 油圧警告灯:点灯
(*クラッチONでも回転数を上げると油圧警告灯は消灯しますがたぶん1000RPM近辺)
クラッチOFF:620RPM 油圧警告灯:消灯
4、アイドリング再調整調整
クラッチON:696RPM 油圧警告灯:点灯
クラッチOFF:737RPM 油圧警告灯:消灯
やはりアイドリング回転数を上げても結果は前回と全く同じ、クラッチのON/OFFが油圧に影響しているのは明らかです。
最初はプロペラシャフトが押す力が影響しているのではと考えましたがこれはギアボックスで受けているので無関係のようです。
で、一生懸命考えてたどり着いた結論が「ギアボックス側のメインベアリング摩耗」、これだと現象の説明がつきます。
1、クラッチOFFの場合はプロペラを回すギアへの力が加わらないのでクランクシャフトはオイルに浮いた状態でベアリングの中央付近
2、クラッチをONするとプロペラを回す力が必要になりギアにトルク伝達、この反力でシャフト位置が変化、隙間の状態が変わり結果として油圧が逃げる。(右側の図)
1,2両方とも隙間の面積は同じですがオイルの粘性の影響で2の方が流れやすいと思われます。
また、どっち方向に動いているのかは定かではありませんがオイルの供給口との位置関係も影響するはずです。
ま、細かいとこは合っていないかもしれませんがベアリングが摩耗してクラッチON/OFFでシャフト位置が変化して油圧に影響を与えているのは確実だと思われます。
さて、この推測が当たっているとしても どう対処したらいいんでしょうね?
一番いいのはベアリング交換なんでしょうけど このベアリングを自分で交換、しかも船の中でやるのは無理でエンジンを下ろしてプロに頼むしかなさそうです。
う~ん、大変そう!
で、次善の策で思いつくのがもう少し硬めのオイルを使ってみること。
今使っているのは#30のオイルですがこれを#40に替えれば油音が上がっても粘度の低下が少ないですからアイドリングでも油圧を確保できるかもしれません。
ま、対処療法でだましだまし使うことにしかなりませんが、安全サイドになることは間違いありません。
これはオイルさえあればすぐにでも試せるのでやってみたいと思います。
さて、オイル買う前に自分へオイル補充しなきゃ。
でも、これかなり粘度低いですけどね。
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