今回も前置きが長いです、私の頭の中の整理のために書いてる部分も有りますので前置きは読み飛ばしてもらって結構です。
キャンピングトレーラーのリン酸鉄リチウムイオンバッテリー化が終わったので今度は船の方もやることにしました。
「やらなくても鉛バッテリーでも十分かな~、どうしようかな~」などと少し悩んでいましたが悩むくらいならやってしまえと言うことでネットでポチッを繰り返して必要部品を購入してしまいました。 今回も使うユニットはトレーラーと同じ320Ahのものです。
船の方はンジン起動用のメインバッテリー(ENG)は鉛のままで船内設備用(HOUSE)だけをリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(長いので以下LFPバッテリー)に変更としました。
その心はと言うとLFPバッテリーに使うBMS(Battery Management System)は最大放電電流200Aのものなのでセルモーターをこの電流で回せるかどうか怪しいからです。
ま、トレーラーの場合も牽引車X3側は鉛トレーラー側はLFPバッテリーなので同じと言えば同じなんですけどね。
ちなみに船の中の主だった電源回路はこんなになっています。このほかにもビルジポンプなどの回路もありますがそこは割愛。
同じとは言ってもやはりヨットの場合はキャンピングカーと条件が異なる部分も有りますから先ずはその辺の整理から。思いつくままに書くと次のような項目が並びます。
1,エンジンを回す時間が少ない
2,エンジン起動用バッテリーの選択スイッチがある
3,エンジンが回ってるのを判別できる信号が無い
4,古いYCエンジンなので発電容量が少ない
5,AC100Vからの充電ができない
1,エンジンを回す時間が少ない
機帆走で長時間走るロングクルージングの場合は別としてデイセイリングの場合などはエンジンを起動しても使うのは赤灯台まで、帰りも赤灯台で起動して着岸までとエンジンの運転時は短く起動時に使った電気量を補充するほどエンジンを回していない可能性が大。
このため現システムではソーラーパネルはENG側に接続して係留時にもENGバッテリーを充電できるようにしています。
2,エンジン起動用バッテリーの選択スイッチがある
トレーラーと異なるところもいろいろあってエンジン起動用のバッテリーが選択できるようになっていることもその一つ。
メインスイッチでNo.1(ENG), No.2(HOUSE),Bothの切り替えが出来るようになっています。 ここでBothは2個のバッテリーを並列に接続してセルモーターを回すものです。
この切り替えスイッチの扱いをどうするのか少し悩ましいところです。
特にBothとなるとNo.1とNo.2を有無を言わせず並列に接続してしまうので電圧が異なるLFPバッテリーと鉛バッテリー間で大きな電流が流れてしまいそうです。
この並列説については少し時間を取って勉強してみることにします。
3,エンジンが回ってるのを判別できる信号が無い
車の場合はエンジンが回ってる時に生きる電源とエンジンが回ってない時でも使えるACC電源が有るので「エンジンが回ってますよ~」との判別が簡単なんですがヨットの場合はACC電源は無くエンジンが回っているのかどうかの判断が出来ません。
このために現行システムではVSR (Voltage Sensitive relay)を使って電圧が13.3V以上の時だけHOUSE側を充電するようになっています。
4,古いYCエンジンなので発電容量が少ない
もう一つ注意しなきゃいけないのが発電容量、現代の車は大きな発電機を搭載していますが半世紀前のYCエンジンには小さな発電機しか付いておらず最大で35Aしか流すことが出来ません。
空っぽになったLFPバッテリーを充電しようと発電機に直接接続すると鉛バッテリーに比べて内部抵抗が低いLFPバッテリーには大きな充電電流が流れることが考えられます。 下手するとこの大電流で発電機を壊すことも考えられるので充電を制限する手立てを考えなきゃいけません。
BMSにも充電電流の制限機能は有りますが80Aと大きいのでこれは当てにしない方が良さそうです。
5,AC100Vからの充電ができない
設備の整った立派なマリーナに係留しているんだったらいざ知らず、私の場合は小さな漁港の隅っこに係留しているので水も電気もありません。
クルージングに出ても停泊する港のほとんどが水電気無し、キャンピングカーのように電池の残量が少なくなったから100V電源付きのサイトに泊まるなんてことも出来ません。
頼れる電源はエンジンの発電機とソーラーパネルだけ、デカいLFPバッテリーを積むのは良いんですが空っぽになった時にどう充電するかもしっかり考えておかないといけません。
と悩む項目は多いんですが悩んでばっかりでも仕方が無いのでさっさと実作業に移って走りながら細かいことは考えることにしました。
何も考えずにできるのはバッテリーセットの組み立て、キャンピングトレーラーで経験してるのでその踏襲です。
ちょっと違うのはバッテリー収納スペースが小さいので幅方向に余裕が有りません。
ここは2.5mm厚のベニヤ板で側板を使ってみました。
余談ですがこのベニヤ板キャンピングトレーラーのクローゼット扉に使われていたものを捨てずに残していたんですがやっと出番が来ました。
で組み上がったLFPバッテリーセットがこちら、よくできました。💮
次はこのバッテリーセットが今使っている100Ah鉛バッテリーのスペースに上手く収まってくれるのかが気になるところ。船に持ち込んでセットするのが一番の早道と言うことで持ち出しましたが「う、重い」と言うことでせっかく組み立てたんですがバッテリーセルを2個取外してしまいました。 トレーラーに組み込んだ時にセットの重さを測ったら24.2kgありましたがこの重さのものをバウスプリット経由で船に持ち込むのは大変ですからね。
これを船に持ち込んで今付いてるバッテリーと交換、
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鉛バッテリー100Ah |
すぐ隣に在った1500Wインバーターは邪魔なのでとりあえず取り外してLFPバッテリーセットを押し込みます。
マイナス側の端子台が出っ張っているので今までとプラスマイナスを逆にして押し込んで
プラス側電線がぎりぎりの長さでしたが何とか収まってくれました。
ただプラス側の端子がバッテリーケース蓋受けの桟の真下になるので配線をいじる必要が有る時にはインバーターを外して横に引き出す必要が有ります。
この状態では回路は今までのままで全くいじらずに鉛バッテリーをLFPバッテリーに置き換えただけの形になっています。
さてこのまま運転したらどうなるでしょうか?
先ずはYCエンジンのセルモーターをLFPバッテリーから200A BMS経由で回せるかどうか試してみました。 メインスイッチをN0.2(HOUSE)側に回してデコンプレバーを引いてセルモーターON, はい、あっさり回ってエンジン起動成功です。 なんか拍子抜けした感じ。
デコンプを引かずに回してみたらとも思いましたがBMSを壊しちゃいけないと思いとどまりました。
これでENGバッテリーが死んだときでもHOUSE側バッテリーでエンジン起動が出来ることが確認出来ました。 これ大事なことです。
今度はメインスイッチをNo.1(ENG)にしてエンジン起動、発電機の電圧は13.3Vを超えますからVSRはONとなり二つのバッテリーは並列接続になります。
この状態で充電状態を見てみるとHOUSE側LFPバッテリーには約10Aの充電電流が流れていますがENG側の鉛バッテリーに流れる充電電流はゼロ。
これってENGが満充電と考えるより内部抵抗が小さいHOUSE側に全部取られてしまってると考えるのが良さそうです。
これではENG側はエンジン起動の度に電流を消費して補充が無いのでやせ細っていくってことになりそうです。
もう一つの現象はエンジン起動でVSRが一旦ONの状態になるとHOUSE側の電圧(13.2V程度)がVSRの接点を通じてENG側にかかるのでエンジンを停止してもVSRはONの状態を保ったままで並列状態が続いてしまいます。
この状態で2つのバッテリー間に流れる電流を測ってみたら約0.1A程度と小さな値でさほど問題になる電流値ではありませんでした。
VSRは12.8Vまで下がるとOFFになりますがLFPバッテリーがこの電圧になるのは残量30%まで落ちた時点なので万年並列接続と言うことになってしまいます。
これではVSRを使う意味が無さそうですね。
ここまでやったところで帰宅タイムとなり作業終了、念のためENG側バッテリーの電線は外しておきました。
さてこの後どうシステムをまとめますかね、グラス片手にゆっくり考えることにしましょう。